KYTの「news every.」にて4日連続・生放送で桜島の観光について語ってきました。福島大輔が発信したメッセージの部分だけ抜粋して記録しておきます。
来やんせ!桜島① (2016年2月8日放送)
「観光客を取り戻す地元の取り組み」
(2月5日に5カ月ぶりに噴火したことが全国放送で取り上げられたが、どう受け止めたか?)
全国放送の内容は、ちょっと大げさだった。いつもと変わらない規模の噴火だったのに。センセーショナルな夜の噴火の映像を見て、全国の人が「桜島全体が危ない」と勘違いしないか心配だ。
(昨年8月の噴火警戒レベル4の影響で観光客が減ったことに対して、どんな対応をしているのか?)
私たちにできることは、桜島の魅力を発信すること。その一つとしてフットパスに取り組もうと思っている。フットパスとは、ありのままの風景を楽しむ「まち歩き」の一種。地元の人と一緒に歩いて、雰囲気の良い道を探し、ルートを設定する。地元の人が自分たちの住む地域に愛着や誇りをもつきっかけとなり、まちづくりとしても重要。
来やんせ!桜島② (2016年2月9日放送)
「修学旅行生 呼び込むための取り組み」
(修学旅行が減っているとのことだが、どれくらい減っているのか?)
噴火警戒レベルが4に上がった8月15日以降の1か月間だけで、県内全体で22校3563人の宿泊がキャンセルになった。9月~11月は修学旅行のトップシーズンなので、レベル4の影響は大きかった。3563人という数字は少ないように見えるかもしれないが、修学旅行は2泊、3泊と連泊するので、この数字の2倍、3倍の経済的なダメージがあった。
(これから桜島に修学旅行生を再び呼び込むには何が必要か?)
鹿児島の人にとって桜島は眺めるもの、行っても何もすることがないと思っている人が多い。しかし、実際に桜島へ行けば、様々な体験ができる魅力的な場所。たとえば、温泉掘り、シーカヤック、ガイドウォークなど。おススメは、ナイトツアー。夜に桜島の噴火を観察しようというツアー。昼間の噴火と違って、赤い噴石が飛び散る様子が観察できて迫力がある。鹿児島の人でも見たことない人が多い。まずは、鹿児島の人に桜島の面白さを体験してもらって、その凄さを県外に発信してもらえたら。
来やんせ!桜島③ (2016年2月10日放送)
「火山の理解を深める報道とは」
(2月5日の噴火で噴火警戒レベルが3に上がり全国放送で一斉に取り上げられたが、地元にとって有意義だったのか?)
地元の人にとっては特に必要ない報道だった。いつもと同じような噴火だから。災害があったかのような大げさな報道は、地元としてはちょっと迷惑。
井口先生のインタビューにもあったが、みんなが知りたいのは、噴火による影響。噴火のことしか伝えていない先日の報道は、バランスに欠けた偏った報道だったと思う。
(昨年8月に噴火警戒レベルが4に上がったときも全国放送で一斉に取り上げられたが、あの時はどうだったか?)
火口から3kmに注意という情報しかなかった。4~5kmに住む人や、鹿児島市街地の人はどうしたら良いのか分からなかった。火山灰が降るのか?石が降ってくるのか?噴火による影響についての情報が非常に少なかった。
(桜島がどんな火山か知ってもらうための地道な活動を続けていますよね?)
ツイッター、フェイスブックなどを使って、なるべく細かい情報をバランスよく発信するように心がけている。
たとえば、桜島の噴火警戒レベルは3の時期が圧倒的に長いことをグラフで表現。噴火は日常ということが伝わるようなメッセージを発信している。
鹿児島の人にとって当たり前の日常が、全国の人にとっては非日常の世界。桜島とともに暮らしている私たちの日常を発信することで、桜島のことをもっと全国の人に理解してもらえれば。
来やんせ!桜島④ (2016年2月11日放送)
「桜島を活かした観光の可能性は・・・」
(VTRで観光の鍵を握るのは防災だという話があったが、どう思うか?)
活火山を安全に観光するためには、防災がしっかりしている必要がある。その点で桜島は他の火山よりも優れている。
たとえば、桜島の観測坑道。この春にも3つ目の観測坑道が完成するが、これだけ高精度な観測が行われているのは世界的に見ても珍しい。
あとは、この世界に誇れる観測体制を、どうやって安全に観光するために活用するのか?という部分が大事になってくると思う。
今はまだ、鹿児島の観光業者は、行政の出した情報をそのまま伝えているだけ。場合によっては「今まで大丈夫だったから」というあまり根拠のない思い込みで情報発信しているかもしれない。将来的には、観光業者がしっかりと火山を理解し、最新の観測データなどで活動状況を把握したり、自分の言葉で分かりやすく情報発信できるようになれば、今まで以上に安全に観光できる地域になると思う。
(砂防施設を巡るツアーも開催しているそうですね?)
火山はとても崩れやすく、土石流が起こりやすい。それを防ぐのが砂防ダム。その防災の最前線を見学するツアーを企画している。迫力のある荒々しい自然を目の当たりにし、防災についても学べる良い機会だと思う。
火山はときに災害をもたらすが、正しい知識を持って、安全な距離を保っていれば、生活も観光もできる。恐れ過ぎず、慣れ過ぎない、バランスが大切だと思う。
(多くの人に桜島の魅力を知ってもらうために、私たちにできることは?)
「灰さえなければ良いところ」と、鹿児島県民の「合言葉」か?というくらい皆さん同じことを言う。みなさん、何だかんだ言って桜島好きなんだと思う。家を選ぶときも桜島が見えるか?をすごく気にする。本当に嫌だったら引っ越すはず。でも、桜島が好きだからそのままいる。
だから、県外の友達と桜島や火山灰の話をする機会があれば、最後に愛情を込めて「そうは言っても、やっぱり桜島が好き」と言ってもらえたら、全国の人にも桜島の魅力が伝わるのでは?
(NPO法人桜島ミュージアム 理事長 福島大輔)